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AKG K812 レビュー [AKG]

世界最高のダイナミックレンジを持つヘッドホン

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世間のAKG K812のレビューで共通していることは、
情報量が多い、音のディテールがリアルである。ということ。
これは、53mmドライバーの情報量の多さもあるが、
音のディテールを詳細に描ける理由は、
ダイナミックレンジが抜きん出て高いためである。
AKGの宣伝文句を引用すると、
「広大なダイナミックレンジを得ながら、微細な信号も精確に再現。」とある。

オーディオ機器において、最も重要な性能は、ダイナミックレンジである。
これは基本であるが、世間ではメーカーもユーザーも本当の音を知らない。
リスニングなら作られた音が良い、と思っているだろうが、
原音の醍醐味に勝るリスニングは無いと私は断言する。

カメラなどの映像機器の性能はダイナミックレンジで決定する。
センサーの大きさと性能、レンズの性能、などで決定する。
これらの性能が高ければ、光の情報を多く取り入れることができる。
つまり、ダイナミックレンジが高くなる。ということ。

ヘッドホンやマイクの性能もダイナミックレンジで決定する。
SN比が高く、雑音が無く、音の強弱の幅が広い。
私がゼンハイザーHD800を買わなかった理由は、
AKG K812のほうがダイナミックレンジが高いからである。
私は原音の醍醐味を味わいたかったからK812を買った。

AKG K812は何が優れているのか

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K812に近いK712やHD700と比較するのが最も分かりやすい。
残念ながらHD800は所持していないが、
HD800とHD700は基本的には同じものである。
設計思想、技術レベルなど同じである。
音作りや用途が違うだけである。
しかし、K812とK712は技術レベルが違う。
音作りの方向性は同じだが、格段に性能が上がっている。

K812とK712は何が違うのか

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まず、K712の特徴は、抜けが良い、SNが高い、ダイナミックレンジが高い、
空間が広い、奥行きのある音、感度が低く能率が低い。

まず、K812とK712の能率の違いについて。
世間では、K812は能率が上がったので、ポータブルでも使っている人がいるが、
確かに音量は取りやすくなったが、性能的に言えば、
K812をポータブルで使っても釣り合わない。
K812の性能を発揮することはできない。
つまり、ポータブルDAPのダイナミックレンジとK812のダイナミックレンジは、
全くレベルが違う、ということ。
ポータブルDAPのダイナミックレンジに適しているのはK3003である。
AKGはそういう用途を考えて、製品の性能を決めている。

それでは、なぜK812はこんなに能率が上がったのだろうか?
これは、ポータブル用途を考えて能率を上げたのではない。
出力効率が上がったからである。
私がK812とK712を聴き比べて、最も違うと感じるのは、
出力効率が格段に上がっていることである。

では、なぜ出力効率が上がったことが分かるのか?
K812とK712は目指す音は同じであるが、
K812はK712で出し切れていなかった音を出せている。

広大で精細なダイナミックレンジ

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まず、ダイナミックレンジがさらに上がっている。
幅が広くなっただけでなく、階調も精細で豊かになっている。
これは、1.5Tの磁気回路と軽量なアルミ製ボイスコイルによるものである。
振動板のレスポンスも上がっているので、音の応答が速く、音が精細で正確になった。
音が、さらに末端までしっかりと出る、隅々まで強く出る。

音量を上げるだけなら、感度を上げれば簡単に上げられるが、
そうすれば、雑音も増えてピーキーな音になる。
K812は音量は上がっているが、雑音は増えていない、ピーキーな音ではない。
K712と同じような、奥行きのある音である。
分かりやすい例が、後述するHD700である。
K812とHD700は音量がほぼ同等であるが、
HD700は感度を高めたので、音の奥行きが減ってピーキーな音になってしまう。

つまり、K812は音量を上げたのではなく、出力効率が上がったのである。
K812とK712の目指す音は同じだが、
1.5Tの磁気回路とアルミ製ボイスコイル等により、出力効率が格段に向上して、
ダイナミックレンジが広くて豊かになった。と言える。
結果的に音量も大きくなった。

情報量が多い音

次に、私がK812とK712が違うと感じたことは、
中低域の情報量の違いである。
この違いが出るのは、K812は53mmドライバーで、K712は40mmドライバーなので、
順当な違いであるが、単純に中低域の量が増えたのではない。
K712の音は若干、中低域が引っ込んでしまう。
特にアンバランス接続なら顕著に表れてしまう。
K712はバランス接続で、初めて適正な音のバランスになると感じる。
しかし、K812はアンバランス接続でも適正な中低域が出る。

K812がアンバランス接続でも、適正な音のバランスであるのは、
前述の出力効率が上がったからである。
K712は能率が低いため、音を出し切れていない、振動板を駆動し切れていないと感じる。
K812は駆動に余裕を感じる、53mmドライバーでも余裕を持って駆動していると感じる。
つまり、駆動効率が格段に上がったので、
単に低音の量が増えたのではなく、
低音もダイナミックレンジが豊かで精細である。
レスポンスが速く、正確な低音である。
男性ボーカルや低音の楽器の音も、豊かで精細なディテールであり、躍動感もある。

応答速度が速く正確な音

K812とK712は、振動板の応答速度が違う。
これも、1.5Tの磁気回路とアルミ製ボイスコイルのおかげである。
K812の音は、高音も低音もレスポンスが速い。
速いだけではなく、音の歪みも少ない。
AKGは振動板に複合材を使用したと言っているが詳細は分からない。
振動板の中心部にエアフロードームを設けて空気を抜いている。
この構造はHD800の思想と同じである。
ドライバーが大きくなれば、振動板の歪みが増えるので、
音圧を逃がすことにより、歪みが減る。
これらにより、K812の音は、K712よりも歪みが減っている。
特に低音の歪みが減っている。
ドライバーが大きくなって、振動板が鈍重になるはずだが、
逆にレスポンスが速くなって、歪みが減って、
解像度が高く、キレのある、正確な音、精密な音になった。

正確な空間再現

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K712に唯一足りなかったものが、ヘッドホンの空間である。
K712は完全に音を抜いているので、限り無い空間になってしまうので、
定位が無い空間になってしまう。
なので、K812に新たに追加されたものは、定位のある空間である。

K812のハウジングは完全に音を抜いていない。
ハウジングの内側に薄い網が付けられている。
HD800やHD700より密閉感が少ない網である。
これは、ヘッドホンの空間を作り、音の定位を作るため。
限りなくK712に近い開放感がありながら、
HD800やHD700のような定位のある空間を作っている。
音の抜けと定位を絶妙のバランスで両立している。
K712のような広い空間でありながら、定位のある立体感のある音にしている。

K812とK712の違い[結論]

両者とも目指す音は同じであるが、
10年前に出せなかった音が、現在では出せる、という違い。
新技術によって出力効率が格段に上がったので、
ドライバーを大きくすることができる。
音域を広くすることができる。
ダイナミックレンジを広くすることができる。
レスポンスを速くすることができる。
結果として音量も上がった。

K812は正統に進化して、格段に性能が上がった。と言える。


AKG K812とゼンハイザーHD700の違いは

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K812に一番近いヘッドホンを挙げるならHD700だろうか。
K812とHD700の音楽の形態は似ている。
まず、中低域が豊かで音のバランスが良いこと。
どちらも、レスポンスが速くて正確な音である。
定位のある立体感、空間表現が似ている。
音量も同等レベル。
但し、全てにおいてK812の性能が上である。

音楽の形は似ているが、
K812のほうが情報量が多く、音が精細で精密である。
ダイナミックレンジが広く、奥行きのある広い空間。
音のディテールが詳細で精細である。

AKGとゼンハイザーの違いは

K812とHD700の違いというより、
AKGとゼンハイザーの違いと言ったほうがいいと思うが、
最も違う点は、やはりダイナミックレンジの広さである。
AKGはK812、K712、K3003など、ダイナミックレンジが広いという点が共通している。
AKGの音はダイナミッレンジが広いため、音が自然に分離される。
音が自然に立体的になる。
その違いを表しているのが、HD800やHD700に使われているフィルターである。

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このフィルターは、音を分離して、聴き良い音にしてくれるフィルターである。
このフィルターを外すと、音の分離が悪く、平面的で機械的な音になる。
HD800やHD700は、フィルターにより強制的に音を分離して、
音を分散させて、音を分離している。
ゼンハイザーの音は、サラウンド的な音になり、
中央の音像のディテールが曖昧になってしまう。

K812やK712は素通しのフィルターである。
フィルターを通す必要が無い、ということである。
音を全く加工しないで、ダイナミックレンジを高めることにより、
自然に音が立体的になり分離される。
そして、中央の音像のディテールが正確で詳細である。
つまり、K812やK712は完全な原音を出すことができる。


スピーカーよりもスピーカーらしい音

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私が使っているスピーカーはINFRASONICのBlow5であるが。
このスピーカーはリファレンスモニタースピーカーである。
モニタースピーカーと呼ばれる物は沢山存在するが、
リファレンスを謳っているスピーカーは非常に少ない。
このBlow5は数少ないリファレンススピーカーである。
Blow5の音は、味付けが無く、原音通りの音を出す。
SNが高く、ダイナミックレンジが高いので、
奥行きがあり立体的な空間を描くスピーカーである。
ざっくりと言えば、AKG K712と同じような感覚で聴けるスピーカーである。
K712と同等の音楽を聴けるので、すばらしいスピーカーであるが。
K812を買ってからは、
K812のほうが音がいいじゃん。
スピーカーの良い点は、情報量の多さと広い空間であるが、
K812のほうが、情報量が多くて空間再現力も高い。
特にK812の中低域の情報量は非常に多く、
情報量が多くて正確である。
低音もレスポンスが速くてダイナミックレンジが広い。
スピーカーよりも正確な低音である。
そして、K812の最も優れている点は、
音像のディテールが正確で詳細であること。
スピーカーよりも正確で詳細なディテールである。
つまり、K812はスピーカーよりも、
情報量が多くて、ダイナミックレンジが高い。
リファレンススピーカーよりも正確な音を聴くことができる。


正しい音とは

それでは、基本に戻って、
リファレンスとは何ぞや?
正しい音って何?
原音って何?
これらの基本が、世間には全く理解されていない。
基本を知らずに、音を評価している人が多すぎる。

正しい音とは、
マイクで録音している音である。
マイクとヘッドホンの間には、DACやアンプやパソコンやケーブルなど、
音が減衰、劣化する要因が沢山あるが、
それらのロスを極力減らすと、
マイクの音に限りなく近くなる。

マイクとヘッドホンで最も重要なのはダイナミックレンジである。
ダイナミックレンジが広ければ、原音を忠実に再現することができる。
録音方式は16ビットより24ビットのほうが良い。
PCMよりもDSDのほうが良い。
DACやアンプの性能もダイナミックレンジで決まる。
ケーブルやパソコンなど音が経由する部分ではSN比を下げないようにすることが重要である。

AKG K812の音とは[結論]

今まで沢山解説してきたが、
一言で言うと、
「マイクの音を直接聴いているような音」である。

じゃあ、マイクの音って何やねん?
まず、ボーカルの存在感が明確にあること。
音が聴こえる、というよりも、ボーカルがそこに立っている感覚がある。
音という信号という感じではなく、立体的な存在感がある。ということ。
つまり、ダイナミックレンジが高いので、
音のディテールを立体的に詳細に描くことができる。
ボーカルの声のディテールや空間を詳細に描くことができる。


AKG K812のパフォーマンスを最大に発揮するには

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やはりバランス駆動である。
K812は能率が高いので、アンバランス駆動でも、しっかりと駆動できるので、
出力される音自体は、バランス駆動にしても大きな違いは無い。

では、バランス駆動にすると何が変わるのか?
劇的に空間が広くなる。
ダイナミックレンジがさらに広くなる。
音楽のスケールが全く違う。
リスニングにおいて、感動や没入感が全く違う。

まぁ、K812は基本的にスタジオモニター用なのだろうから、
片出しケーブルにしているのだろう。
片出しケーブルは実用的には使いやすいが、
バランス改造は非常に難しい。
これが、K812が一般では売れない理由だろう。
HD800が売れる理由でもある。

しかし、K812をバランス駆動すると、
とんでもなく広い空間になり、
さらにダイナミックレンジが広くなり、
とんでもない立体感になり、
一つ一つの音がはっきりと分離されて、
音のディテールがハンパではない。

HD700とは次元が違う、全てにおいて比較にならないレベルである。
HD800なんかいらない。
原音に勝るリスニングの醍醐味は無い。
究極のリスニングである。

極上のリスニング

私はいくつかDAC、ヘッドホンアンプを所持してるが、
最もK812の性能を発揮できる組み合わせは、

ソースは、Styleaudio SAPPHIRE/LE
バランスヘッドホンアンプは、VICJOHNAUDIO HAV3 (LME49990 15V駆動)

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聴いた瞬間に感動した。
すばらしい音である。
すばらしい音楽である。

まず、SAPPHIRE/LEの音がすばらしい。
SNが高い、ダイナミックレンジが高い。
解像感があり、透明感があり、精密で正確な音。
単に良い音を聴くなら、izoのiHA-21EX-ZIIでもいいが、
Styleaudioのすばらしい点は音のディテールが明確で正確であること。
音像のディテールが抜きん出て正確である。
OPA627の音の良さと、Styleaudioの音作りの正確さ、
そして、HAV3のバランス駆動により、
音楽のスケールが格段に大きくなる。
OPAMPのLME49990がOPA627の良さを完全に出し切る。
OPA627の豊かなダイナミックレンジを全て味わうことができる。
正確で精密でスケールの大きな音楽。
完璧なリスニング、極上のリスニングである。
どんなに高価なスピーカーを買っても、これだけの音楽を聴けるだろうか。

AKG K812とUCOTECH IL300Affetto

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K812と比較できるヘッドホンは無いだろう。
唯一比較できるのは、IL300Affettoである。
K812とIL300Affettoは共通点が多い。
設計思想、性能、原音通りの音。
K812と同等のヘッドホンを挙げるならIL300Affettoしかない。

K812とIL300Affettoは何が同じなのか?
それは、ダイナミックレンジの高さである。
K812とIL300Affettoのダイナミックレンジの広さは、
ヘッドホン、イヤホンの中では抜きん出ている。
比較対象は無いだろう。

両者ともSN、ダイナミックレンジが高く、
広い空間、奥行きのある音、正確な空間再現、正確な音のディテール。
マイクの音を直接聴いているような正確な音である。

最高で極上のリスニングをできるのは、
K812とIL300Affettoだけである。

AKG K812とK3003

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同じリファレンスのK3003とは何が同じで、何が違うのか?
どちらもリファレンスなので、基本的に同じ音であるが、
まず、K3003はBAドライバーなので音域が狭い。
そして、ダイナミックレンジが違う。

K3003はポータブル用としては、ダイナミックレンジが広いが、
ポータブル用途で最大のダイナミックレンジを出せるレベルの広さである。
つまり、K3003はポータブル用のダイナミックレンジであり、
K812やK712は据え置き機用のダイナミックレンジである。

つまり、音域の広さ、ダイナミックレンジの広さなど、
音楽のスケールが違う。
ポータブル用と据え置き機用の違いである。

K3003はBAドライバーだから能率が良いので、
ポータブル用としては最良のイヤホンである。
IL300Affettoはイヤホンとしては能率が低いので、
ポータブルではポテンシャルを完全に出し切ることができない。
ダイナミックレンジが高い据え置き機で性能を出し切れる。

優れた出力装置とは

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優れたカメラはダイナミックレンジが高い。
解像度が高いカメラが優れている、という人はいない。
そんなことは常識だが、
音に関しては、解像度がどう、高音や低音がどう、という評論しかしない。
私から見れば、非常に滑稽である。

解像度が高いとか、音が良いということは、
私にとっては当然のことである。
音色の違いは、人それぞれ感性が違うし、
ケーブル1本でも音は変わる。
そんなことを評論しても意味は無い。

最も重要なのは、どれほど原音に近いか、
どれほどダイナミックレンジが高いか、ということ。
原音に近いほど、リスニングの醍醐味は増える。

最も優れた出力装置は、
間違いなく、K812とIL300Affettoである。
世界最高のヘッドホンとイヤホンである。

優れた出力装置は、何が優れているのか?
それはダイナミックレンジが高いこと。
ダイナミックレンジが高いと何が良いのか?
一言で言うなら、
出力装置そのものの存在感が無くなる。ということ。
優れた出力装置になるほど、それ自身の存在が無くなる。
つまり、それだけ原音に近くなったということ。
ライブで聴いている音に近くなる、ということ。

解像度がどう、高音や低音がどう、と言っている限りでは、
原音から遠いということである。

K812とIL300Affettoは限りなく原音に近い音を出す。
特にダイナミックレンジが広いDSD音源を聴いたら、
ヘッドホンの存在が完全に消えるほど。
それほど生音に近くなる。
解像度がどう、というレベルとは次元が違う。

最も優れた出力装置は、
K812とIL300Affettoであり、
次に優れている出力装置は、
K712とリファレンススピーカーのBlow5が、ほぼ同レベル。
優れた出力装置ほど、原音に近くなり、存在感が無くなる。

HD700は良い音であるが、存在が消えるという次元には達しない。
ポータブルのダイナミックレンジなら、K3003が最も優れたイヤホンである。

人間は本能的に生音を認識できる。
生音に近くなれば、はっきりと認識できる。
だから、感動するし醍醐味がある。


レディーガガ「Joanne」 44KHz/24bit [音源、曲紹介]

世界最高のPCMハイレゾをAKG K812で聴く

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Lady Gaga「Joanne」44KHz/24bit

結論を言うと、この音源は凄い!
これがハイレゾの醍醐味である!

日本では、96KHzや192KHzにするのがハイレゾだと思っている。
ハイレゾの意義が全く理解されていない。
アメリカのマスタリング技術者はハイレゾの意義を知っている。
私に言わせれば、96KHzや192KHzにすることは、ほとんど意味は無い。
そんなことは、プレーヤーソフトでもできるし、アップサンプリング機能があるDAC、DDCもある。
私はJRiverMediaCenterで44KHzを88KHzにアップサンプリングしている。
そうすることによって、若干解像度が向上する。
それだけで済む問題である。

24ビットの良さを最大に発揮している「Joanne」

この音源の凄いところは、48KHzや96KHzにすることを全く考えていないこと。
24ビットにすることだけを考えている。
24ビットの良さを最大に発揮することが目的である。
それでは、24ビットの良さとは何ぞや?
それはダイナミックレンジの広さである。

それでは、ダイナミックレンジとは何ぞや?
映像や画像を扱う人なら分かると思うが、
映像や画像でのダイナミックレンジとは、色の明るさの階調のことである。
明るさの階調が広くて細かければ、暗闇や明るい場所でも正確なディテールを表現することができる。
明暗を正確に出せて、正確なディテールを描ける、遠近感や立体感も正確に描ける。
音のダイナミックレンジとは、音の強弱の階調のことである。
つまり、24ビットは音の強弱の階調の幅が広く細かいということ。

音の位置が計算されているような空間再現

24ビットの音源は、日本でも増えてきたが、
本当に24ビットのダイナミックレンジを使い切っているのだろうか?
と思うような音源ばかりである。
私が聴く感じでは、単に16ビットを変換しただけじゃないの?と思ってしまう。

「Joanne」の24ビット音源の凄いところは、
音の位置が明確で正確であること。空間再現が優れていること。
まるで、音の位置を計算して、空間設計しているのでは?と思うくらい。
AKG K812で聴くと、この空間は圧倒的になる。
まず、ボーカルの位置がはっきり分かる。立体的にボーカルが存在しているのである。
そして、周りの楽器の位置も明確で正確である。
広い空間を描き、中心にボーカルが明確に立っていて、
周りに各楽器がそれぞれ立っている感じがはっきりと伝わってくる。
こんなに空間再現が正確な音源は、私は初めて聴いた。
こんなに正確に空間を再現できるのは、24ビットのダイナミックレンジを有効に使っているから。
これこそ24ビットの醍醐味である。という完成度になっている。
レディーガガの「Joanne」は形式だけのハイレゾではない。
これが真のハイレゾである。

AKG K812で聴く24ビットとは

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24ビットの音源の良さを最大に味わうには、
再生装置や出力装置のダイナミックレンジが高くなければならない。
出力装置の中では、AKG K812が最もダイナミックレンジが高いヘッドホンである。
イヤホンならIL300Affettoということになる。
そのためには、まずSN比が高くなければならない、
ヘッドホンならオープンでなければSN比を高くすることができない。
その上で、ダイナミックレンジを高めるためには、
一言で言うなら、音をいかにロスなくそのまま出力できるか、
入力した音をそのまま出力できるか、という性能である。
つまり、出力効率が高いということ。
よく言われる、音が篭っている、ベールがかかっているなどは、音を出し切れていないこと。
そして、単純に感度を上げて音量を上げても、音がピーキーになり、雑音も増える。
K812は音量が取りやすいが、雑音は無く正確な音を出す。
つまり、K812はSN比が高く、出力効率が高いのでダイナミックレンジが高いヘッドホンである。

ダイナミックレンジが高いヘッドホン、イヤホンで聴くと、
24ビットのダイナミックレンジをそのまま聴くことができる。
音の強弱の階調が広くて細かいということ。
正確な音のディテール、正確な音の位置、正確な空間再現が出来るということ。
具体的に言うと、マイクの向こうにボーカル、楽器が立っている正確な存在感、立体感があるということ。

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ちなみに、同じ音源のMP3 320Kbpsを聴いて見ると、
24ビットを聴いた後では、聴けたもんじゃない。
空間が潰れてしまう。空間が存在しない。平面の音楽になってしまう。
全く音楽に没入できない。
音楽のクオリティーが全く比較にならない。

AKG K812の性能を最大に発揮するには、やはりバランス駆動

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K812のレビューをまだしていないが、
結論を言うと、バランス接続すると圧倒的な音楽になる。
バランス改造のレビューは別途したいが、
私のK812の概要は、
まず、ノーマルのLEMOコネクタは残しているが使っていない。
代わりにミニXLR4極オス端子を付けた。
つまり、他のヘッドホンとケーブルを共有できる端子にした。
なので、外部ケーブルはBELDEN88761と87761の4本出しを使っている。
そして、内部配線はノーマルの配線は残しているが外している。
代わりにBELDEN8503で配線した。

世界最高のソースは、やはりStyleaudio

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バランス出力するためのソースはStyleaudioのSAPPHIRE/LE。
バランス出力するヘッドホンアンプはVICJOHNAUDIOのHAV3。

SAPPHIRE/LEは音質で言えば、iHA-21EX-ZIIとほぼ同等。
OPA627の最高の音をバランス出力のソースとして使う。
HAV3のOPAMPは、これに合わせてLME49990に換えた。
なぜ、LME49990でなければならないのか。
LME49990が最も性能が高く、くせが無い音であるから、
OPA627の音を最も良い音で、そのまま出すことができるから。

ソース SAPPHIRE/LE
バランスヘッドホンアンプ HAV3 LME49990 15V入力
ヘッドホン AKG K812 バランス接続 BELDEN88761 内部配線 BELDEN8503

AKG K812とSAPPHIRE/LEのバランス出力の音とは

まず、HAV3のアンバランス出力で聴いて見ると、
音質はiHA-21EX-ZIIのヘッドホン出力とほぼ同レベル。
iHA-21EX-ZIIはヘッドホン用の音作りをしているので、
SAPPHIRE/LEと比べると、若干すっきりした整頓された音楽のように感じる。
それに対してSAPPHIRE/LEはスピーカー用の音作りがされているので、
ヘッドホンで聴いたら、若干ごちゃごちゃ感がある。
SAPPHIRE/LEは一つ一つの音が強くてはっきりしている。

では、バランス出力して聴いて見ると、
見事に空間が広がる。
アンバランス出力でのごちゃごちゃ感が全く無くなる。
一つ一つの音が強くてはっきりしていて、音が完全に分離される。
見事な音である。
SAPPHIRE/LEの特徴は、単にOPA627だから音が良いのではない。
SAPPHIRE/LEの最大の良さは、完璧にチューニングされていること。
音が強くて明確で精密であること。
音像やディテールが明確で正確であること。
一つ一つの音が完成していて、音楽のディテールが完成していること。
それらの完成された音が、バランス出力によって、
より明確にはっきりと表れる。

SAPPHIRE/LEをバランス出力した音とは、
まず、元々高いSN比がさらに高くなる。
空間がより広くなり、音も広くなる、迫力が格段に増す。
そして、バランス駆動することによって出力効率が上がるので、
ダイナミックレンジもさらに上がる。
それらにより、一つ一つの音が、よりはっきりと強く、
まるで、別々に鳴っているように音が分離する。
結果として、正確な音、正確なディテール、正確な空間を描くことができる。
ボーカル、楽器のディテールが正確でリアルである。
定位、空間も正確で広い。立体感がハンパではない。

そして、K812の特徴は、
ダイナミックレンジが広くて、速くて正確な音なので、
音のディテールが精密で正確であること。
つまり、K812でSAPPHIRE/LEのバランス出力の音を聴くと、
とんでもなく精密で正確な音のディテールを描ける。
とんでもなくリアルな音、リアルな空間ということ。
この「Joanne」の24ビットの音源を聴くと、
マイクを挟んで、ボーカルや楽器を聴いているような感覚を感じることができる。

ここまでリアルな音楽を聴けるのは、
この組み合わせでしか聴けない。


izo iHA-21EX-ZII 世界最高のアナログ回路 [izo]

世界最高の音 ヘッドホンアンプDAC

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まず、特筆すべきことは、OPA627BMを使っていること。
OPA627BMとは、OPA627を缶に入れたものである。
樹脂に封入するのと缶に入れるのとでは何が違うの?と思うだろうが、
これは実際に聴いて見るしかないが、アナログ回路は理論だけではないということである。
とにかく解像度が高い、ダイナミックレンジが高い。
単にOPA627BMを使えば音が良くなるわけではなくて、
iHA-21EX-ZIIは基本性能が非常に高い、SN比が非常に高い。

理想的なOPAMP構成

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OPA627BMは最終的な音作りの仕上げをする役目であり、
私が注目する点は、前段にLME49990を使っていること。
OPA627とLME49990が最高性能のOPAMPであることは言うまでもない。
私が聴いてきた経験から言えば、最高性能のOPAMPはLME49990だと思う。
具体的に言えば、最もSN、ダイナミックレンジが高いのがLME49990だと思う。
OPA627もLME49990に近いが、OPA627は良い音を出してくれるOPAMPだと思う。
つまり、LME49990は音作りの土台を作る役目を持っている。
LME49990はSN、ダイナミックレンジを底上げして、
OPA627BMが最大に性能を発揮できるよう縁の下で力を発揮している。
つまり、最も性能が高いLME49990がダイナミックレンジを引き上げ、
最も音が良いOPA627BMが音作りの仕上げをしている。


ヘッドホンアンプのOPA627BM

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それでは、OPA627BMの音とはどんな音なのか?
中身はOPA627なのだからOPA627の音と同じだが、普通のOPA627とは何が違うのか?
OPA627BMの音を一言で言うなら、
超高解像度、高ダイナミックレンジ、と言える。
とにかく解像度が高い。解像度だけで言えば私が所持しているDACの中で最も高い。
IL300Affettoで聴くと超精密な音を聴ける。
雑音や付帯音、音の歪みなど一切無い、ぜい肉を全てそぎ落としたような音。
研ぎ澄まされた音である。
そして、ダイナミックレンジが高い。
普通のOPA627よりも音のレンジが広いと思う。
具体的に言えば、音がより末端までしっかり出る。
封入されているものが開放されたので、音の出力効率が上がった、と感じる。

OPA627BMの音がすばらしいのは間違いないが、
音の土台を作っているのはLME49990である。
LME49990のダイナミックレンジの広さ、速くて正確な音、素直でバランスが良い音。
というものが音の土台となっているので、
OPA627だけの音よりは素直でバランスが良い音になっている。


ライン出力のOPAMPとクロストーク

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ライン出力のOPAMPはノーマルではMUSES02であるが、
正直言って、iHA-21EX-ZIIにMUSES02では役不足である。
私の感覚で言えば、MUSES02はモバイルDACでも使えるように、
MUSES01の電圧を下げてデチューンしたものだと思っている。
なので、私は当然のごとくMUSES01に交換した。

写真を見てお気付きだろうか?おかしい!
何がおかしいのか?
MUSES01は2回路OPAMPである。
2回路OPAMPを2個挿している。
もちろん、MUSES01を2個挿す必要は無い。
通常は1個挿せばよいのであるが、
なぜ2個挿しているのか?
しかも、ソケットにソケットを挿して、電源ラインを半田付けして改造している。

私がMUSES01を2個挿している理由は、一般では想像できないと思う。
その理由とは、
2回路OPAMPのクロストークが発生するから。
MUSES01内部でクロストークが発生してしまう。
だから、2個のMUSES01を1回路づつ使用している。
3500円のMUSES01の1回路分しか使用していない。
では、クロストークとは何ぞや?
クロストークという言葉はよく耳にするが、それがどのようなものかは知られていない。
クロストークとは、左右が繋がってしまうこと。
左右の音が干渉して雑音が発生する。
具体的に言えば、SN比が下がる。

クロストークが発生したからといって、はっきりと耳に聴こえる雑音が発生するわけではない。
非常に高レベルな次元での話である。
私がクロストークを確認したのは、
MUSES01を1個挿して、ヘッドホンアンプなどに繋いでSNが高いヘッドホンで聴いた場合である。
最もSNが高いK712で聴くとクロストークを確認することができる。
つまり、SNが高い環境で聴いたときに、SNが下がってしまう。ということ。
もちろん、誰でも確認できるわけではなくて、環境のSNの高さによる。

iHA-21EX-ZIIでクロストークを確認できる理由は、
私の環境がSNが高く、iHA-21EX-ZIIのSNが高いから。
ちなみに、X3-HDSD-HPAもMUSES01を挿しているが、特にクロストークを感じたことは無い。
つまり、iHA-21EX-ZIIが普通のDACよりもSN比が高いから、クロストークが分かってしまう。

MUSES01を2個挿すと、非常にSNが高く、クリアで見通しの良い音になる。
私の感覚で言えば、SN比120db~130dbあたりが、クロストークを確認できる境目だと感じる。
ちなみに参考までに、さらにSN比が高いWminiDACの場合、iHA-21EX-ZIIよりもはっきりとクロストークを確認することができた。(別途レビュー)


Styleaudio SAPPHIRE L/Eとの違いは

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SAPPHIRE L/Eはライン出力用のDACで、iHA-21EX-ZIIはヘッドホンアンプDACという違いはあるが、
DACはPCM1792で、出力OPAMPがOPA627であることは同じである。
それでは、何が同じで、何が違うのか?
まず、基本性能は同等レベルである。
基本性能とは主にSN比のことを言っている。
音質もほぼ同等レベルである。
どちらも解像度が高く、シャープでキレのある音、クリアで解像感のある音。
若干、iHA-21EX-ZIIのほうが精密感があるという感じはするが、
SAPPHIRE L/Eはスピーカーで聴く音であり、iHA-21EX-ZIIはヘッドホンで聴く音である、
という観点で見れば、それぞれの出力媒体に合った音作りであると思う。

音の傾向も同じOPA627なので似ているが、
SAPPHIRE L/EはOPA627の音であると感じるが、
iHA-21EX-ZIIは前段にLME49990が入っている分、素直でバランスが良いと感じる。

iHA-21EX-ZIIのほうが、若干ダイナミックレンジが高いと感じる。
これは、OPA627BMであることと、LME49990が入っているためだと思う。

それでは、iHA-21EX-ZIIのライン出力とSAPPHIRE L/Eはどう違うのか?
同じライン出力を比べると、
まず、言わなければならないことは、iHA-21EX-ZIIはヘッドホンアンプであるということ。
つまり、ライン出力はおまけであること。
だからと言って、iHA-21EX-ZIIのライン出力は音が悪いわけではない。
iHA-21EX-ZIIのライン出力もSAPPHIRE L/Eも基本性能は同等レベルである。
しかしながら、SAPPHIRE L/Eはライン出力専用機なので、スピーカー用に絶妙にチューニングされている。
OPA627の良さを活かしつつ、Styleaudioの絶妙のチューニングによって、スピーカーで最高の音を聴けるようになっている。
なので、iHA-21EX-ZIIのライン出力にOPA627を挿してもSAPPHIRE L/Eには勝てないので、
MUSES01を挿して、違う音楽性にしている。
同等の性能であるが、スピーカー用にはOPA627のSAPPHIRE L/EとMUSES01のiHA-21EX-ZII、
というふうに区別して、違う音楽を楽しんでいる。

ざっくりと違いを言うならば、
OPA627のSAPPHIRE L/Eはキレのある、解像感のある、音像がくっきりした、立体感のある、ダイナミックで迫力のある音楽。
MUSES01のiHA-21EX-ZIIは広くて奥行きのある音楽、解像度は高いが尖っていない音、自然な音、美しい高音、女性ボーカルが際立つ音楽、立体感のある空間。

iHA-21EX-ZIIの総評

iHA-21EX-ZIIはDSDには対応していないので、PCM専用機である。
ヘッドホン出力はアンバランス出力だけである。
バランス出力にすれば良いということではなくて、重要なのは基本性能である。
音が良いということが重要である。
PCM音源を聴くならば、ベストなヘッドホンアンプである。
この音を聴いたら、他のヘッドホンアンプなど聴けないだろう。
圧倒的に良い音のヘッドホンアンプである。

iHA-21EX-ZIIに最適なヘッドホンはAKG K812

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iHA-21EX-ZIIはAKG K812で聴いても全く不足無い音質である。
ていうか、K812に最適なヘッドホンアンプである。
まず、K812は片出しのアンバランス接続である。
iHA-21EX-ZIIをK812で聴くと、超高解像度、高ダイナミックレンジである。
iHA-21EX-ZIIの性能を引き出せるのはK812であり、
K812の性能を引き出せるのはiHA-21EX-ZIIである。
とにかく解像度が高い、速くて正確な音、SN、ダイナミックレンジが高い、
とにかく音のディテールが精密である。
他のヘッドホン、ヘッドホンアンプとは一線を画す。別格である。
音楽のディテールの正確さが別次元である。

私のおすすめは、
iHA-21EX-ZIIとAKG K812をセットで聴くこと。
世界最高の音を聴くことができますよ。

宇多田ヒカル「Fantôme」のハイレゾとは [音源、曲紹介]

ポップス界の最高音質の音源

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2年前、First Loveの96KHz/24bitをIL300Affettoで聴いたときは、
それは衝撃の音であった。
24bitのダイナミックレンジの広さというものをIL300Affettoが忠実に再現する。
具体的に言うと、空間表現が圧倒的である。
今までの音楽の概念が根底から覆るほどの、今まで全く聴いたことの無い音であった。
単なる音源鑑賞ではなく芸術鑑賞の次元だと感じた。
宇多田ヒカルのハイレゾ音源は、単なるデータ量を増やしただけの音源ではなく、
製作者の音楽表現のコンセプトが伝わってくる、製作者の作品でもある。

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ハイレゾ音源を発売するアーティストの多くが、無名アーティストであることが多い。
つまり、宣伝のためにハイレゾを発売する。
それらの音源は、単にデータ量を増やしただけじゃないの?
24bitのダイナミックレンジを使い切っているの?と感じるような色の薄い音源が多い。
宇多田ヒカルのハイレゾ音源は、ハイレゾらしさを感じることができるように、
高ダイナミックレンジ、高コントラストの音作りをしている。
宇多田ヒカルの音源は、単なる歌を聴くだけでなく、
編集も含めた音源の質の高さを聴くためのものでもある。


96KHz/24bit、CD、MP3を聴き比べ

ハイレゾの96KHz/24bit、CD音源をFlacに変換したもの、MP3の320Kbpsの3種類を用意した。

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96KHz/24bitの音とは

まず、最も違うのは24bitによるダイナミックレンジの広さ。
具体的に言うと、奥行きのある音楽になる。
奥行きがあって、音の位置がビシッと決まる。
空間表現、定位が格段に上がる。
音の細かな強弱、抑揚まで詳細に描き出す。

音自体のダイナミックレンジも広くなり、末端まで音がしっかり出て、
リアルさ、躍動感、ボーカルの感情まで伝わってくるようだ。
そして、96KHzにより音が細かくなる。
解像度が上がり、音が精密になる。

音楽のディテールが非常に正確で精密である。
音楽に対する没入感が全く違う。

CD音源の音とは

基本的に圧縮してないので、情報量は多い。
音の欠落が無い、音が末端まで出る、音の密度が下がらない。
しかし、16bitになることで、べたっとした空間で奥行きが無くなる。
空間表現が曖昧になる。
44KHzになることで、音の精細さが下がる。

圧縮してないので、それなりのディテールはある。
私は最低でもCD音質で聴きたい。


MP3の音とは

CD音源より、さらにいい加減な音楽になる。
圧縮しているので、情報量が減る。
音が欠落する、細かい音が欠落する、音の密度が下がる。
空間表現も、さらにいい加減になる。
音楽のディテールが格段に下がる。

ハイレゾ、CDと比べると、ざっくりとした音楽になる。
私はMP3では聴きたくない、とりあえず聴ければいいという音楽のみ。


「Fantôme」の総評

音楽に関しては、私は分からない。あくまでも音質についてである。

以前の音源のように、ハイレゾらしさを前面に出した高コントラストの音作りではなく、
派手さは無いが、一つ一つの音を丁寧に精巧に作り上げた音源という感じである。
録音も最新であることも含めて、現在存在する音源の中では、間違いなく最高音質の音源だろう。
高音質の環境で聴けば、じっくりと深い音楽鑑賞ができる音源である。

以前の作品は、私にとっては音源製作者の作品という感じだったが、
今回の作品は、宇多田ヒカルの作品だと感じる。


DACは、ダイナミックレンジが最も高いWminiDACとiHA-21EX-ZII
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スピーカーはINFRASONICのBlow5
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ヘッドホンはK712とHD700
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そして、やっぱりIL300Affetto
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急遽参戦したK812
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私が所持しているDACの中でも、
WminiDACとiHA-21EX-ZIIは別格のダイナミックレンジの高さである。
24ビットのダイナミックレンジを存分に味わうことができる。
スピーカーのBlow5でも24ビットのダイナミックレンジを体感できる。
特にWminiDACとはXLRのバランス接続なので、圧倒的なダイナミックレンジになる。
ヘッドホンではK712とHD700は、24ビットを忠実に再現できる性能を持っている。
SRH1840でも体感できるが、どちらかと言うとリスニング色が強いので、あまり音の分析には向かない。
IL300Affettoは最もダイナミックレンジが高いイヤホンなので、
スピーカーやヘッドホンよりもダイナミックレンジの違いを体感することができる。
ダイナミックレンジに関しては、後述するK812といい勝負である。
そして、今回から参戦することになったK812。
以前から感じていたが、WminiDACとiHA-21EX-ZIIでは、K712とHD700では役不足感が少しある。
WminiDACとiHA-21EX-ZIIのために最終兵器を入手した。
K812については、別途詳細をレビューするが、
K712やHD700とは次元が1段階高い音の分析とリスニングができる。
そして、K812をリケーブル、バランス化するとどうなるかも別途レビューしたいと思う。

AKG K712 と K3003 [AKG]

AKG K712とK3003の違いは

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同じリファレンスモデルで、ほぼ同じ音だが、両者の違いは何か?
まず、共通することは、音の質や音のバランスなど、基本的なことは同じ。
しかし、オープンヘッドホンとイヤホンなので、音のスケールが違う。
音楽の広さが違う。
空間の広さも違うが、音域の違いもある。
K712は40KHz、K3003は30KHz、
つまり、K3003はK712をスケールダウンした音である。

その他の違いとしては、
低音の量はほぼ同じだが、
K3003の低音は真鍮リングで増幅している低音であること。
これにより、若干、解像度や透明度、ダイレクト感が落ちる低音となる。

K3003の音とは、
K712の音をそのままで、コンパクトにまとめられた音である。
オープンヘッドホンと比べるとコンパクトになるのは当然であり、
K3003はイヤホンとしては広い音楽である。

K3003、IL500grazioso、IL300Affetto

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スケール感で言えば、K3003とIL500graziosoは近い。
音域が、K3003が30KHz、IL500graziosoが35KHz、
この音域に比例したスケール感だと思えば間違いない。
K3003とIL500graziosoに近いヘッドホンのイメージは、ゼンハイザーHD700だろうか。
それに対して、IL300AffettoはAKG K712のようなスケールの音楽だ。
音域、空間の広さなど、K712と同等のスケールを実現した唯一のイヤホンである。
K712とIL300Affettoは同格の音楽であり、
HD700とIL500grazioso、K3003も同格の音質であり。
HD700:40KHz、IL500grazioso:35KHz、K3003:30KHz、
音域に比例したスケールだと思えば間違いない。

この3者のイヤホンは、他のイヤホンとは比較できないほど完成度が高い。
比較対象は、リファレンスオープンヘッドホンになる。
細かい音質の違いはあれど、ざっくりと比較するなら、このようになる。

UCOTECH IL500 grazioso とは [UCOTHCH IL500 grazioso]

ダイナミックドライバー1基でAKG K3003と真っ向勝負する

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2年前に登場したIL300Affettoは、BAドライバーに移行する他メーカーを横目に、
ダイナミックドライバーの可能性や潜在能力を知らしめるイヤホンであった。
そして、IL500graziosoは、BAドライバーでなくてもこれだけの音を出せるという、
ダイナミックドライバーの新境地を切り開くイヤホンである。

ダイナミックドライバーだけで、なぜこんな音を出せるのか

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IL300Affettoは8mmドライバーなので、
ハイブリッドには、かなわない部分もあったので、質の違う音楽を表現したが、
IL500 graziosoは10mmドライバーを搭載して、新技術も盛り込んできた。
そして、AKG K3003と真っ向から勝負できる音を完成させた。

IL500 grazioso を最適化する。

まず、IL500grazioso の音を最大限に発揮するための準備を。

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左から、IL300用イヤーチップ、JVC EP-FX2、純正イヤーチップ。
まず、純正のイヤーチップは開口が細いので情報量が減る。
適度に音が減衰されて聴きやすい、適度に低音の音圧もある。
バランスが良い、BAイヤホンに慣れた人でも聴きやすい音である。

次に、JVC EP-FX2は、開口が大きいので情報量が多い。
適度な開放感、適度な抜けの良さ、広い低音、低音がしっかり出る。
高音も低音もしっかり出るので、バランスが良い。

そして、IL300用イヤーチップは、さらに開口が大きい。
材質が薄く、音の抜けが良い、音が篭らない、音の広がりがある。
非常に情報量が多い、広い低音、広い音楽、開放的な音楽。
原音を最も忠実に再現するが、普通のイヤホンに慣れてる人にとっては、
高音が多いと感じるかもしれない。低音も減ってしまう。
このチップは、イヤホンの取り付け部が少し緩いので、
これを改善すれば、低音もしっかり出るようになる。

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IL300のイヤーチップは取り付け部が緩いので、
取り付け部にセロテープを巻いた。
これにより、低音もしっかり出て、なおかつ、原音を忠実に出すことができる。

AKG K3003 を最適化する。

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左から、純正イヤーチップ、IL300用イヤーチップ。(正確にはIM100のイヤーチップ)
まず、純正のイヤーチップは開口が小さいので、情報量が減る。
基本的にIL500graziosoの純正イヤーチップと構造は同じである。
やはり、純正イヤーチップでは原音を忠実に再現できない。
開口が細いチップでは、ダイナミックドライバーの低音をそのまま聴くことができない。
K3003もIL300用のイヤーチップを使うのが、原音をそのまま聴くことができる。
IL300のイヤーチップは背が低いので、DN-2000用のリングをかませている。

そして、サウンドフィルターはHIGHブーストフィルターを使う。
HIGHブーストといっても、普通の素通しの網フィルターである。
HIGHブーストフィルターでなければ、原音をそのまま聴くことができない。
リファレンスフィルターは、正確に言えば、万人向けフィルターである。
K3003もIL500graziosoも高音がくっきり出るので、
一般のイヤホンを使ってる人からすれば、高音がきつく感じるだろうから、
万人向けフィルターをリファレンスフィルターとしている。

IL500grazioso と K3003 を聴き比べ

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最高のイヤホンであるから、ポータブルDAPで聴いても、限界性能が分からない。
なので、今回は限界音質を探るため、世界最高のアナログ回路を搭載したizo iHA-21EX-ZII で聴き比べる。
iHA-21EX-ZIIについて簡単に説明すると、DACはPCM1792、
OPAMPはLME49990、ヘッドホン出力にはOPA627BM、
一般のヘッドホンアンプでは考えられないほど、高い解像度、SN、ダイナミックレンジである。
上段のDACは、さらに性能が高いWaversaのWminiDAC。詳細は別途レビューしたいと思う。

ぱっと聴きは、ほとんど同じ音

IL500graziosoとK3003は、ほとんど同じ音。
これだけで、レビューを終えてもいいのでは、と思えるくらい。
高い解像度、高いSN、ダイナミックレンジ、
くっきりした高音、ダイナミックによる広くて正確な低音、
色付けの無いバランスの良い音。

IL500 grazioso と K3003 の違いは

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ほぼ同じ音でも、やはり少し違う。
まず違う点は、K3003の高域はBAドライバーで、IL500graziosoはダイナミックドライバーであること。
つまり、音域の広さが違う。
IL500graziosoは35KHzで、K3003は30KHzである。
この程度の差は、実用上分からないんじゃない?と思う人も多いかもしれないが、
IL500graziosoとK3003は、音楽の広さが違う。
私は普段、40KHzのイヤホン、ヘッドホンを使うことが多いので、
K3003の高音は頭打ち感がある。音楽が小さく感じてしまう。
IL500graziosoの高音はストレス無く伸びる。
抜けが良い、音楽が広く感じる。

次に違う点は低音である。
同じ10mmのダイナミックドライバーだが、
違う点は、K3003は音の通り道をBAドライバーが邪魔している。
そのために、低音の情報量が減るため、それを補完するために真鍮リングを入れている。
結果として、同等の量の低音を出すことができるが、
付帯音があるので、低音の解像度や透明度が落ちてしまう。
IL500graziosoの低音は、K3003よりも正確な低音である。
付帯音が無い、解像度が高い、透明度が高い、広くて速く、色付けの無い低音である。
まるで、オープンヘッドホンのような低音、スピーカーのような低音である。
イヤホンで、こんなに正確な低音を出せるのはIL500graziosoだけである。
ただ正確なだけではなく、速くてキレのある躍動感のある低音である。
イヤホンでこんな低音を聴けるのは驚きである。

そして、両者はハウジングが違う。
K3003はステンレス、IL500graziosoはアルミにチタンコーティングしてPVDコーティングもしている。
どちらも非常に硬い材質なので、付帯音が無い、SNが高い、音が正確である。
どちらも似た音であるが、ステンレスのほうが密閉度が高い。
K3003は、ステンレスの良さを生かして、
音の輪郭がはっきりしている、定位感がある音にしている。
IL500graziosoは、アルミの良さを生かして、
開放感のある音、広がり感のある音にしている。

IL500 grazioso の音とは(総括)

ダイナミックドライバーならではの広い音域、
伸びる高音、抜けの良い高音、美しい高音を聴ける。
ダイナミックドライバーならではの低音、
広い低音、速い低音、解像度が高く、色付けの無い正確な低音、躍動感のある低音。
アルミハウジングによる抜けの良い音、開放感のある音、広い音楽、
チタンコーティングとPVDコーティングのハウジングにより、
付帯音が無く、解像度が高く、透明度が高く、正確で精密な音。

BAドライバーのような高音が出せて、
なおかつ、ダイナミックドライバーの良い点を伸ばした、
どのハイブリッドイヤホンでも出せない音を実現した。

K3003のリファレンスの音に近い音でありながら、
ダイナミックドライバーによる、自然で躍動感のある音楽、繊細で深みのある音楽。
BAイヤホンでは味わえない、音楽の醍醐味を味わえる。

世界最高のヘッドホンアンプで聴いても全く不足なし。

並みのヘッドホンでは、全くかなわないほどの、
精密で正確な音、広くて立体感のある音、
オープンヘッドホンのような美しい高音、正確で迫力ある低音。
ヘッドホンでも、これだけの音を出せるものは、ほとんど無いだろう。
アンプの性能が上がるほど、圧倒的な音楽を聴くことができる。
これだけの性能を持ちながら、スマホでも鳴らせる万能性も持っている。

UCOTECHとAKG 音作りの原点

両社の音作りは似ている。
両社の音作りの原点は、リファレンスの音である。
IL500graziosoは、K3003の音に追いついた初めてのダイナミック型イヤホンである。
K3003が発売されたのは2011年だが、
UCOTECHは2010年にリファレンスの音のイヤホンを作っている。

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UCOTECHが2010年に作ったES503である。
4000円程度のオープンイヤホンであるが、
その音は、まさしくリファレンスの音である。
もちろん、コストも性能もK3003に及ばないが、
音の質、音のバランス、音のスケール、音の正確さ、という点でK3003と同じである。
オープンイヤホンで、こんなに正確な音が出せるのかと驚いた。
現在のイヤホンと比べると、決して良い音だとは言えないが、
私はES503のリファレンスの正確な音が好きなので、今でも使っている。
両者の音を聴くと、UCOTECHとAKGが同じ音を目指していることが理解できる。


Fiio X5 2nd と CARAT-TOPAZ Signature [Fiio]

ポータブルDAPと据え置きDACの違いは

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なぜ、この2者を比較するのか?
ポータブルDAPと据え置きDACの違いを説明しやすいから。
まず、共通することは、DACチップがどちらもPCM1792であること。
CARAT-TOPAZはWASAPI運用なので、PCプレーヤーによる差が出にくいこと。
CARAT-TOPAZは、デジタル回路は6Vだと思うが、アナログ回路は12Vだと思う。
デジタル回路は、それほど大きな差は無いが、アナログ回路に大きな差が出る。
モバイルのOPAMPと据え置き機のOPAMPの差が出る。

CARAT-TOPAZ Signatureのヘッドホンアンプ

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このヘッドホンアンプは非常にシンプルな作りである。
ゲインを上げるためのバッファICや、最近の定番であるTPA6120を使っていない。
OPAMPだけによる増幅である。
そのために、パワーはそれほど大きくなく、K712やK701をぎりぎり駆動できるくらい。
なので、私はイヤホンを聴くヘッドホンアンプとして、Fiio X5 2ndと併用している。
このヘッドホンアンプの良い点は、無理にゲインを上げていないのでSNが高いこと。
ライン出力のSNとほぼ変わらない。
但し、ノーマルの状態ではOPAMPはOPA2134なので、ライン出力より音が悪い。
なので、私はライン出力と同じOPA827に換装して使っている。

Fiio X5 2nd と CARAT-TOPAZ Signatureの音の違い

ポータブルとしては、SN比が高いX5 2ndのライン出力と比べても、
CARAT-TOPAZ Signatureは次元が違う音である。
まず、同じPCM1792なのに、SN比が全く違う。
CARAT-TOPAZのアナログ回路は、PCM1792のSNを下げていない。
CARAT-TOPAZのライン出力もヘッドホン出力も、音がほとんど劣化していない。
なので、同じPCM1792でも、出力される音のSN比が全く違う。
Fiio X5 2ndのライン出力でも、アナログ回路で音が劣化していることが分かる。

そして、音の力が全く違う。
音の広さ、力強さ、高音も低音も音の強さが全く違う。
CARAT-TOPAZのアナログ回路は音を出し切っている。
ダイナミックレンジが全く違う。

SN比もダイナミックレンジも全く違うため、
音楽のスケールが全く違う。
ちなみに、CARAT-TOPAZもOPA827も色付けの無いスタンダードな音楽である。
性能の違いによって、音の強さ、音の広さ、空間の広さ、立体感、臨場感、音の正確さ、
CARAT-TOPAZのOPA827は原音に近い音を聴くことができる。

ちなみに、1ランク下のDACチップであるCS4398を使っているJAVS X3-HDSDでも、
Fiio X5 2ndよりずっと良い音であることは言うまでもない。
つまり、アナログ回路の電圧や電力に制限のあるポータブルDAPでは、
CS4398の性能を出し切ることも難しいのである。


Fiio X5 2nd と X3 2ndでより良い音を聴くために [Fiio]

音質と感度

IL300Affetto
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K3003
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IL500grazioso
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まず、上の3枚の写真を見て、何か気付くだろうか。
IL300Affettoだけイヤホンジャックを挿している場所が違う。
IL300Affettoだけはヘッドホン出力に挿していて、
K3003とIL500graziosoはライン出力に挿している。

イヤホンで聴く場合、ヘッドホン出力で聴くのが良いか?
ライン出力で聴くのが良いか?

IL300Affettoは感度が低いため、ライン出力では十分な音量を得られない。
K3003とIL500graziosoは感度が高めなので、ライン出力でも音量を得られる。

では、ヘッドホン出力とライン出力では、どちらの音質が良いのか?
それは間違いなくライン出力である。
私が言う音質とは、主にSN比のことを言う。

SN比とダイナミックレンジ

音響機器のスペックでよく見かけるSN比とは何ぞや?
性能の基準であり、SN比が高いほど高性能になる。
ざっくり言うと、SN比120dbなら、120dbの音を出してもノイズは0だということ。
SN比110dbの機器で120dbの音を出したら、10dbはノイズが混入するということ。
具体的に言うと、SN比が低い機器で再生すると、小さな音はノイズにかき消されてしまう。
SN比が高いと、音の見通しが良くなり、小さい音も忠実に再現できる。
音の奥行きが増え、音が鮮明になり、情報落ちも少なくなる、
原音を忠実に再現できて、空間も忠実に再現できる。
ダイナミックレンジはSN比の範囲内で音の強弱を表現できる範囲。
つまり、SN比が高いことが前提となる。
SN比を決定するのは、主にデジタル回路。
ダイナミックレンジを決定するのは、主にアナログ回路。
SN比の高さが、音質を決定する土台となる。

優秀なFiioのライン出力

Fiioのライン出力は優秀である。
ポタアンのソースには最適である。
DACチップやOPAMPの構成を真面目に考えて作っているのが分かる。
IL300Affettoでは、ライン出力の音量が小さいが、
K3003とIL500graziosoで聴くと、ライン出力とヘッドホン出力では、
明らかにSN比が違うことがはっきりと分かる。
おそらく、一般のプラスチックのイヤホンではSN比の違いは分からないだろう。
だから、音が強く出るヘッドホン出力で聴くのだろう。

Fiioのライン出力の音はSN比が高い。
おそらく、ポータブルでは最高クラスだろう。
私の感覚では、ヘッドホン出力とは、数db~10dbくらいは違うだろう。
音の奥行きが全く違う、見通しの良さが全く違う。
音が精密で立体感があり空間が広くなる。
だから、ライン出力で音量を得られるイヤホンは、ライン出力で聴く。

ヘッドホン出力とライン出力

おそらく、ライン出力は最終段のバッファOPAMPを経由していないのだろう。
バッファOPAMPを経由すると、音は増幅されるがノイズも増幅される。
感度が高いイヤホンほど顕著に表れるだろう。
ざっくり言ってしまえば、バッファOPAMPはヘッドホンのためのOPAMPである。

感度が高いイヤホンは音がピーキーになりやすいので、
音の奥行きが無くなり、平面的な音になる。
そういう場合はライン出力に繋ぐことにより、感度が下がり自然で奥行きのある音になる。
一般的にBAイヤホンは感度が高いので、自然な音にすることができる。
感度が低いイヤホンなら、ヘッドホン出力に繋げば音がしっかり、くっきり出る。
ライン出力で音量が得られるなら、ライン出力で聴くほうが音質は良い。

付帯音とノイズ

IL300Affetto、K3003、IL500graziosoは現在最も性能が高いイヤホンだろう。
性能が高い=SN比が高い
ほとんどのイヤホンが付帯音があるイヤホンである。
付帯音=音を演出して楽しい音楽を作ってくれる。と大部分の人が思っているだろう。
私に言わせれば、「原音の醍醐味に勝る音は無い」
原音を聴いたときの感動や迫力を知らないからである。
付帯音とは、つまりは雑音、ノイズである。


AKG K3003が世界最高のイヤホンである理由 [AKG]

世界で唯一のリファレンスイヤホン

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K3003の音に関するレビューは沢山あると思うので、
なぜこんな音を出せるのかということを中心に書きたいと思う。
世界最高のイヤホン、K3003とIL300Affettoを聴くと音の全てが分かってしまう。
両者とも唯一無二のイヤホンである。

リファレンスの音とは何ぞや

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リファレンスを謳っているヘッドホンはAKG K712とK812。
リファレンスの音と言うと、フラットで味付けの無い音だと思う人が多いが、
それは正解ではあるが、それだけでは不足である。
リファレンスの音とは、ありのままの音を再現すること。
原音に何も足さないのは当然だが、何も引かないことも条件である。

K3003は緻密に計算された原音マシーン

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K3003が発売されたのは2011年。
2011年というと、BAドライバーやハイブリッドがまだ世間に認知されていない時代である。
認知もされていないのに、いきなり最高性能品を出してきた。
発売されたのが2011年なのだから、開発はさらに数年前から始まっていたはずである。
AKGの最高のリファレンスヘッドホンであるK701が2005年頃に発売された。
私はK3003の設計思想は、その頃から始まっていたと考える。
リファレンスイヤホンを作るにはどうすればよいのか。AKGは考えたはずである。
考えた結果、小さいイヤホンでは、ダイナミックドライバーでは、
音をありのままに出すことができない、と結論付けたと思う。
それは、IL300AffettoとK3003の音を聴き比べれば、理解することができる。
IL300Affettoの音はリファレンスに近いが、完全なリファレンスはK3003だけである。
高音を正確にありのままの音を出すにはBAドライバーしかない。
低音を正確にありのままの音を出すにはダイナミックドライバーしかない。
合理的で必然的な結果により、K3003は設計されただろう。
BAドライバーが認知されていない時代に、早々とダイナミックドライバーの限界を悟り、
ハイブリッド型式を選択できたのは、AKGがリファレンスの音を知っているから、
イヤホン、ヘッドホンのことを知り尽くしているから可能だった。

K3003の驚異的な原音再生能力

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K3003の音はどんな音かと聞かれたら、
「K712と同じ音」だと答える。これ以上説明する言葉は無い。
K712と違う部分があるならば、それは音楽の広さだけである。
それほど両者の音は同じである。音の質、音のバランス。
音楽の大きさ以外は全く同じである。
どちらもリファレンスなのだから当然ではあるが、
オープンヘッドホンとイヤホンが同じ音だというのは常識では考えられない。
リファレンスの音を出すためには、オープン型式しかあり得ないが、
イヤホンではオープン型式にすることはできないので、
そのかわりにステンレス筐体にした。
ステンレス筐体にすることによって、オープンのような高いSN、付帯音が無い、
そして、密閉度が高いので低音も出すことができる。
イヤホンでリファレンスの音を出すにはステンレス筐体でしかあり得ない。
つまり、K3003のパッケージはリファレンスの音を出すために必然である。
K3003はハイブリッド型式なので、内部構造が複雑である。
したがって、ステンレスの加工も必然的に複雑になる。
K3003のコストの大半はステンレスの加工費だと言っても過言ではない。
つまり、K3003のコストはリファレンスの音を出すために必然となる。
K3003は高いコストと引き換えに、K712と同じ音を手に入れた。

ダイナミックよりダイナミックらしいBAドライバー

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最近でこそBAドライバーの性能は上がったが、
2011年の時点ですでにK3003はBAドライバーを完成させた。
ダイナミックドライバーだと言われても分からないくらい、
自然で違和感の無い、ダイナミックらしい音である。
BAドライバーの悪い点であるピーキーな音を全く感じない。
ドライバーごとの繋がりも全く違和感が無い。
BAドライバーの悪い点は全く感じず、
BAドライバーの良い点であるくっきりした音、力のある音、
そして、ダイナミックドライバーによる広くて情報量が多く、正確な低音。
K3003は3つのドライバーによって、K712の40mmドライバーと同じ音を出している。

K3003に弱点は存在するか?

K3003の良い点は、3つのドライバーにより、原音通りの情報を再現して、
なおかつ、その音に付帯音が無いこと。
では、K3003に弱点はあるか?
私はK3003に弱点は無い、と答えるが、
私が唯一、K3003に注文を付けるとしたら、
ブラスリング(真鍮リング)を内蔵しているのは気に入らない。
真鍮は音の響きを増し、主に低音を増幅する作用をしていると思われる。
低音を出すためには必須だと思われるが、
IL300Affettoと比べると、若干SNが下がってしまう。(非常に高いレベルの話)
理想を言えば、真鍮無しでこの音を実現してほしかった。(高すぎる理想)
もし、ダイナミックドライバーだけで同じ音を出せるとしたら、
BAドライバーが無い分、音の通路が塞がれないので、
低音の情報量が増えるので、真鍮を使う必要は無いのではないか。

K3003に匹敵するイヤホンはあるのか

最近はマルチBAドライバーのイヤホンが多い。
ドライバだけの性能ならば、K3003に近いイヤホンはあるだろう。
しかし、プラスチック筐体を使っていては同じ音を出すことはできない。
そして、低音を正確に出すにはダイナミックドライバーは必須である。
BAドライバーとダイナミックドライバーの最も違う点は、空間再現力である。
空間を作るためには、平面で音を出さなければならない。

K3003とIL300Affettoの違い

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K3003は3つのドライバーを使っているので、リファレンスの情報量を表現できる。
IL300Affettoはダイナミックドライバー1つなので情報量に限界がある。
そのかわり、IL300Affettoはダイナミックの良さを生かしている。
広い音域、繊細な音、奥行きのある音、
そして、ステンレスにPVD処理をすることにより、さらにSNを上げている。
高いSNとダイナミックの良さを組み合わせて、広くて奥行きのある音楽を表現している。

K3003に代わるイヤホンは登場するか

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現在はリファレンスの音を出すにはハイブリッド型式しか考えられない。
ハウジングにコストをかけたマルチドライバーイヤホンが登場するか、
もしくは、ダイナミックドライバーの性能が向上するか。
K3003の音に最も近いダイナミックドライバーは、
IL300Affettoではなく、IL500graziosoである。
IL300Affettoは8mmドライバーだが、IL500graziosoは10mmである。
つまりK3003のダイナミックドライバーと同じ10mmである。
そしてIL500graziosoはBAのような強い高音を出すことができる。
IL500graziosoはスマホユーザーにも使えるようにチューニングされているが、
もしハイエンド向けにチューニングされたなら、
限りなくK3003に近い音を出すことができるだろう。


Fiio X5 2nd と Fiio X3 2nd [Fiio]

X5 2ndとX3 2ndは何が違うか

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DACチップ、OPAMPの違いは、
X5 2nd
PCM1792 → OPA1652×2 → OPA1612 → OPA1612 → BUF634×2

X3 2nd
CS4398 → I/V変換無し → OPA1642 → OPA1642 → LMH6643

PCM1792とCS4398の違いは、卓上機なら1ランク違いが出るが、
ポータブルならこの程度の違いはほとんど出ないだろう。
それよりもOPAMPの違いのほうがはっきり出るだろう。
モバイル用のOPAMPのことは知らないが、
OPA1642、OPA1652は標準的なOPAMPのようだ。
それに対してOPA1612は1ランク上のOPAMPのようだ。
最終段の出力用バッファのOPAMPは、X5 2ndのほうが電流値が多くパワーがある。
そして2個搭載しているのも大きな違いが出る。
パワーが出るというメリットもあるが、
左右が分離するので、SNが向上するというメリットもある。

ポータブルDAPと据え置きDACの違いは

両者の違いを述べる前に、
ポータブルと据え置き機の違いは何ぞや?
まず一つ目は、プレーヤーソフトの違い。
ポータブルは内臓の専用ファームウェア、据え置き機はPCのプレーヤーソフト。
PCの場合は、使うソフトにもよるが、
私はJRiver Media Centerを使っているので、ポータブルのソフトより処理能力が高い。
特に顕著に表れるのがPCM音源再生時である。
PCM音源はダイナミックレンジが狭いので、
PCのプレーヤーで多ビット処理をすると、元データよりダイナミックレンジが広がる。

そして、ポータブルと据え置き機の最大の違いは電圧である。
ポータブル機は、大抵4V程度で駆動してると思う。
しかし、据え置き機は8V~12V駆動が普通である。
デジタル回路は4Vでも十分だが、アナログ回路は8V以上必要である。
電圧は音を出すための「圧力」である。
音をしっかり出し切るには8V以上が必要である。
音を出し切ることで、ダイナミックレンジが上がる。
4Vでは、出せる音に限界がある。

X5 2ndとX3 2ndの音の違いは

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本題に戻って、X5 2ndとX3 2ndの音の違いは何ぞや?
一言で言うと、X5 2ndは全てにおいてX3 2ndより向上している。
これは、X3 2ndの音が悪いのではなく、X5 2ndの音が良すぎるというのが正しいだろう。
IL300Affettoで聴くと、音の違いが丸裸にされる。

まず言っておきたいのは、
X3 2nd単体で聴いたら何の不満も無い。ということ。
X3 2ndはポータブルとして十二分に高音質であり、
ウォークマン、スマホとは比較できない次元であり、
ハイレゾ、DSD再生においても非常に優れており、
これで十分じゃん、という音質である。

X5 2ndが優れていることは

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まず、音が非常に正確である。ということ。
ポータブルは音質に限界があるため、一般的に良い音に感じさせる音作りが多いが、
X5 2ndは正統に良い音を追求して作られている。
デジタル回路やOPAMPなど、真面目に良い音を追求して作られている。
X5 2ndの音は、SNが高く、音がしっかり出るのでダイナミックレンジが高い。
高音も低音もしっかり出る。
音がくっきりと明瞭である。
なので、音が広く、空間が広く、立体感があり、定位感がある。
X3 2ndよりスケールの大きい音楽を聴ける。

X3 2ndもポータブルとしては十分に大きな音楽を聴けるが、
X5 2ndはポータブルの枠を超えるほどの、正確な音、広い音である。

音に味付けして良い音を作っているDAPは他にあると思うが、
X5 2ndは性能を上げて良い音にしている。

DSDネイティブ再生がすばらしい

これはX5 2ndとX3 2ndに共通することである。
PCM再生も、もちろん優れているが、
DSDネイティブ再生はすばらしい。
IL300Affettoで聴くと、ポータブルとは思えない音である。
DSD再生もPCMハイレゾ再生も、ダイナミックレンジが広い音を聴ける。
圧倒的な空間再現力である。
X5 2ndのほうが、X3 2ndより一回り大きな音楽を聴くことができる。

X5 2ndとX3 2ndは、どちらが買いか?

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AKG K3003で聴くと、正確な音、リファレンスの音、ど真ん中の音を聴ける。
IL300Affettoほどダイナミックレンジは広くないが、
情報量はK3003のほうが多い。

X5 2ndとX3 2ndは、どちらが買いか?
私の答えは、価格差なりの差がある。
価格差以上でも以下でもない、そのまんまの差である。

例えるなら、
X3 2ndは高性能コンパクトデジカメ、X5 2ndは一眼レフ。
スマホとデジカメの画質の差は一目瞭然だが、
高性能コンデジと一眼レフでは、スナップ写真程度ではほとんど差は分からない。
X5 2ndを使うなら、ある程度高性能なイヤホンを使うことが前提である。

X3 2ndのほうが小さくて軽くて、片手にすっぽり入って操作しやすい。
バッテリーの持ちもいい。
外に持ち歩くならX3 2ndのほうが断然楽である。

世界最高のイヤホン、IL300Affetto、K3003を持ってしても、
X5 2ndがあれば十分だ。と感じる。
特にこれ以上のDAPがほしいとは思わない。
Fiioはコスパが高いので、比較対象は価格が高いDAPになるだろう。
リファレンスのK3003、リファレンスに近いIL300Affetto。
私はリファレンスの音を聴きたいので、音を作っているDAPは聴きたくない。

Fiio X7のスペックを見る限りでは、
標準アンプモジュールならX5 2ndと大差ないだろう。
MUSES02モジュールなどを使えば、X5 2ndより良い音になるだろう。
ポータブルには、4Vで駆動できるMUSES02が最高のOPAMPである。
ポータブルはコストや電力の制限があるので、
X5 2nd辺りで、ポータブルの限界に近いと思う。
これ以上にするには、どういう音を作るかという領域になってしまう。

イヤホンも同様である、
K3003以上に高価なイヤホンが沢山出ているが、
K3003以上に高性能にするのは、プラスチック筐体では不可能である。
これ以上の物は、どういう音を作るかという領域である。

最近は10万円以上のDAPも多いが、
10万円のDAPと10万円のイヤホンで、
外で高音質の音楽をじっくり聴くのだろうか?
私はX3 2ndと1~2万円のイヤホンで十分だと思うが。
家の中で、10万円のDACと10万円のヘッドホン、スピーカーで聴いたほうが、
感動の度合いが全く違う。

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総合的に考えて、外で使うのにおすすめできるイヤホンは、
最近発売されたIL500graziosoだと思う。
IL300Affettoはスケールの大きい音楽なので、外で聴くにはちょっと。
K3003は高価すぎるので、外で使うにはちょっと。
IL500graziosoの価格は2万円で、
音質もIL300Affetto、K3003に近く、
くっきりした音、メリハリのある音、適度な広さ、
K3003に似た音で、価格はずっと安い。
高価なハイブリットを買うより良いと思う。
少なくてもDN-2000よりはずっと良い。
詳細は別途レビューしたいと思う。


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