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UCOTECH IL500 grazioso とは [UCOTHCH IL500 grazioso]

ダイナミックドライバー1基でAKG K3003と真っ向勝負する

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2年前に登場したIL300Affettoは、BAドライバーに移行する他メーカーを横目に、
ダイナミックドライバーの可能性や潜在能力を知らしめるイヤホンであった。
そして、IL500graziosoは、BAドライバーでなくてもこれだけの音を出せるという、
ダイナミックドライバーの新境地を切り開くイヤホンである。

ダイナミックドライバーだけで、なぜこんな音を出せるのか

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IL300Affettoは8mmドライバーなので、
ハイブリッドには、かなわない部分もあったので、質の違う音楽を表現したが、
IL500 graziosoは10mmドライバーを搭載して、新技術も盛り込んできた。
そして、AKG K3003と真っ向から勝負できる音を完成させた。

IL500 grazioso を最適化する。

まず、IL500grazioso の音を最大限に発揮するための準備を。

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左から、IL300用イヤーチップ、JVC EP-FX2、純正イヤーチップ。
まず、純正のイヤーチップは開口が細いので情報量が減る。
適度に音が減衰されて聴きやすい、適度に低音の音圧もある。
バランスが良い、BAイヤホンに慣れた人でも聴きやすい音である。

次に、JVC EP-FX2は、開口が大きいので情報量が多い。
適度な開放感、適度な抜けの良さ、広い低音、低音がしっかり出る。
高音も低音もしっかり出るので、バランスが良い。

そして、IL300用イヤーチップは、さらに開口が大きい。
材質が薄く、音の抜けが良い、音が篭らない、音の広がりがある。
非常に情報量が多い、広い低音、広い音楽、開放的な音楽。
原音を最も忠実に再現するが、普通のイヤホンに慣れてる人にとっては、
高音が多いと感じるかもしれない。低音も減ってしまう。
このチップは、イヤホンの取り付け部が少し緩いので、
これを改善すれば、低音もしっかり出るようになる。

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IL300のイヤーチップは取り付け部が緩いので、
取り付け部にセロテープを巻いた。
これにより、低音もしっかり出て、なおかつ、原音を忠実に出すことができる。

AKG K3003 を最適化する。

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左から、純正イヤーチップ、IL300用イヤーチップ。(正確にはIM100のイヤーチップ)
まず、純正のイヤーチップは開口が小さいので、情報量が減る。
基本的にIL500graziosoの純正イヤーチップと構造は同じである。
やはり、純正イヤーチップでは原音を忠実に再現できない。
開口が細いチップでは、ダイナミックドライバーの低音をそのまま聴くことができない。
K3003もIL300用のイヤーチップを使うのが、原音をそのまま聴くことができる。
IL300のイヤーチップは背が低いので、DN-2000用のリングをかませている。

そして、サウンドフィルターはHIGHブーストフィルターを使う。
HIGHブーストといっても、普通の素通しの網フィルターである。
HIGHブーストフィルターでなければ、原音をそのまま聴くことができない。
リファレンスフィルターは、正確に言えば、万人向けフィルターである。
K3003もIL500graziosoも高音がくっきり出るので、
一般のイヤホンを使ってる人からすれば、高音がきつく感じるだろうから、
万人向けフィルターをリファレンスフィルターとしている。

IL500grazioso と K3003 を聴き比べ

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最高のイヤホンであるから、ポータブルDAPで聴いても、限界性能が分からない。
なので、今回は限界音質を探るため、世界最高のアナログ回路を搭載したizo iHA-21EX-ZII で聴き比べる。
iHA-21EX-ZIIについて簡単に説明すると、DACはPCM1792、
OPAMPはLME49990、ヘッドホン出力にはOPA627BM、
一般のヘッドホンアンプでは考えられないほど、高い解像度、SN、ダイナミックレンジである。
上段のDACは、さらに性能が高いWaversaのWminiDAC。詳細は別途レビューしたいと思う。

ぱっと聴きは、ほとんど同じ音

IL500graziosoとK3003は、ほとんど同じ音。
これだけで、レビューを終えてもいいのでは、と思えるくらい。
高い解像度、高いSN、ダイナミックレンジ、
くっきりした高音、ダイナミックによる広くて正確な低音、
色付けの無いバランスの良い音。

IL500 grazioso と K3003 の違いは

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ほぼ同じ音でも、やはり少し違う。
まず違う点は、K3003の高域はBAドライバーで、IL500graziosoはダイナミックドライバーであること。
つまり、音域の広さが違う。
IL500graziosoは35KHzで、K3003は30KHzである。
この程度の差は、実用上分からないんじゃない?と思う人も多いかもしれないが、
IL500graziosoとK3003は、音楽の広さが違う。
私は普段、40KHzのイヤホン、ヘッドホンを使うことが多いので、
K3003の高音は頭打ち感がある。音楽が小さく感じてしまう。
IL500graziosoの高音はストレス無く伸びる。
抜けが良い、音楽が広く感じる。

次に違う点は低音である。
同じ10mmのダイナミックドライバーだが、
違う点は、K3003は音の通り道をBAドライバーが邪魔している。
そのために、低音の情報量が減るため、それを補完するために真鍮リングを入れている。
結果として、同等の量の低音を出すことができるが、
付帯音があるので、低音の解像度や透明度が落ちてしまう。
IL500graziosoの低音は、K3003よりも正確な低音である。
付帯音が無い、解像度が高い、透明度が高い、広くて速く、色付けの無い低音である。
まるで、オープンヘッドホンのような低音、スピーカーのような低音である。
イヤホンで、こんなに正確な低音を出せるのはIL500graziosoだけである。
ただ正確なだけではなく、速くてキレのある躍動感のある低音である。
イヤホンでこんな低音を聴けるのは驚きである。

そして、両者はハウジングが違う。
K3003はステンレス、IL500graziosoはアルミにチタンコーティングしてPVDコーティングもしている。
どちらも非常に硬い材質なので、付帯音が無い、SNが高い、音が正確である。
どちらも似た音であるが、ステンレスのほうが密閉度が高い。
K3003は、ステンレスの良さを生かして、
音の輪郭がはっきりしている、定位感がある音にしている。
IL500graziosoは、アルミの良さを生かして、
開放感のある音、広がり感のある音にしている。

IL500 grazioso の音とは(総括)

ダイナミックドライバーならではの広い音域、
伸びる高音、抜けの良い高音、美しい高音を聴ける。
ダイナミックドライバーならではの低音、
広い低音、速い低音、解像度が高く、色付けの無い正確な低音、躍動感のある低音。
アルミハウジングによる抜けの良い音、開放感のある音、広い音楽、
チタンコーティングとPVDコーティングのハウジングにより、
付帯音が無く、解像度が高く、透明度が高く、正確で精密な音。

BAドライバーのような高音が出せて、
なおかつ、ダイナミックドライバーの良い点を伸ばした、
どのハイブリッドイヤホンでも出せない音を実現した。

K3003のリファレンスの音に近い音でありながら、
ダイナミックドライバーによる、自然で躍動感のある音楽、繊細で深みのある音楽。
BAイヤホンでは味わえない、音楽の醍醐味を味わえる。

世界最高のヘッドホンアンプで聴いても全く不足なし。

並みのヘッドホンでは、全くかなわないほどの、
精密で正確な音、広くて立体感のある音、
オープンヘッドホンのような美しい高音、正確で迫力ある低音。
ヘッドホンでも、これだけの音を出せるものは、ほとんど無いだろう。
アンプの性能が上がるほど、圧倒的な音楽を聴くことができる。
これだけの性能を持ちながら、スマホでも鳴らせる万能性も持っている。

UCOTECHとAKG 音作りの原点

両社の音作りは似ている。
両社の音作りの原点は、リファレンスの音である。
IL500graziosoは、K3003の音に追いついた初めてのダイナミック型イヤホンである。
K3003が発売されたのは2011年だが、
UCOTECHは2010年にリファレンスの音のイヤホンを作っている。

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UCOTECHが2010年に作ったES503である。
4000円程度のオープンイヤホンであるが、
その音は、まさしくリファレンスの音である。
もちろん、コストも性能もK3003に及ばないが、
音の質、音のバランス、音のスケール、音の正確さ、という点でK3003と同じである。
オープンイヤホンで、こんなに正確な音が出せるのかと驚いた。
現在のイヤホンと比べると、決して良い音だとは言えないが、
私はES503のリファレンスの正確な音が好きなので、今でも使っている。
両者の音を聴くと、UCOTECHとAKGが同じ音を目指していることが理解できる。


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コメント 3

Hirune

はじめまして。
むちゃくちゃ影響受けまして、だいぶ真似ッコしてます。オペアンプについて勉強しようと漁っていたら音の好みが似てそうな方と見受けまして。
HD700とSRH1840をご使用というところでピーンときたわけです(笑)
現在はLP-2024Aをいじっておりまして、いい修行となってます。
by Hirune (2016-08-21 17:25) 

Takashi Watanabe

ははっ、今まで全くコメントが無かったので気付きませんでした。すいません。私は以前はオーテクのオープンを使ってましたが、K702を使ってからは、リファレンスの素晴らしさ、本物の音楽というものを知りました。(IL300も同様)HD700もリファレンスと言える音です。OPAMPの入門にはLP-2024Aはいいですが、やはり性能が低い、私が勧めるなら、ヘッドホンで聴くならJAVS X3-HDSD-HPAですね、ソケットになっていてOPAMPを換えると本当に音が良くなる。高性能オープンヘッドホンには最適なヘッドホンアンプです。
by Takashi Watanabe (2016-09-14 18:24) 

ひるね

おぉ、お気付きではなかったのですね(笑)

中華デジアンは「どうせ安物」だと相手にしてなかったのですが、聴いてビックリ。他にも数品5千円未満のを調達し素性が良いのはわかりました。ただやはり部品がショボいんで交換しまくって遊んでます。これは数万円のゴツいアンプと戦えますね。
ふと、ヘッドホンアンプもちゃんと考案された基板ならばパーツを自分好みで揃えたら1~2万で済むんじゃないかと色々物色してます。
既製品は今のトレンドでズンズン高額化してますから、手がでにくくなっていました。
もっと安くちょっと手を加えれば良い物は手に入れられる、と気付かせてくれた貴ブログに感謝しています。

K712proは現在バランス化の手ほどきを受けています(爆
by ひるね (2016-09-15 18:48) 

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