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Fiio X5 2nd と CARAT-TOPAZ Signature [Fiio]

ポータブルDAPと据え置きDACの違いは

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なぜ、この2者を比較するのか?
ポータブルDAPと据え置きDACの違いを説明しやすいから。
まず、共通することは、DACチップがどちらもPCM1792であること。
CARAT-TOPAZはWASAPI運用なので、PCプレーヤーによる差が出にくいこと。
CARAT-TOPAZは、デジタル回路は6Vだと思うが、アナログ回路は12Vだと思う。
デジタル回路は、それほど大きな差は無いが、アナログ回路に大きな差が出る。
モバイルのOPAMPと据え置き機のOPAMPの差が出る。

CARAT-TOPAZ Signatureのヘッドホンアンプ

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このヘッドホンアンプは非常にシンプルな作りである。
ゲインを上げるためのバッファICや、最近の定番であるTPA6120を使っていない。
OPAMPだけによる増幅である。
そのために、パワーはそれほど大きくなく、K712やK701をぎりぎり駆動できるくらい。
なので、私はイヤホンを聴くヘッドホンアンプとして、Fiio X5 2ndと併用している。
このヘッドホンアンプの良い点は、無理にゲインを上げていないのでSNが高いこと。
ライン出力のSNとほぼ変わらない。
但し、ノーマルの状態ではOPAMPはOPA2134なので、ライン出力より音が悪い。
なので、私はライン出力と同じOPA827に換装して使っている。

Fiio X5 2nd と CARAT-TOPAZ Signatureの音の違い

ポータブルとしては、SN比が高いX5 2ndのライン出力と比べても、
CARAT-TOPAZ Signatureは次元が違う音である。
まず、同じPCM1792なのに、SN比が全く違う。
CARAT-TOPAZのアナログ回路は、PCM1792のSNを下げていない。
CARAT-TOPAZのライン出力もヘッドホン出力も、音がほとんど劣化していない。
なので、同じPCM1792でも、出力される音のSN比が全く違う。
Fiio X5 2ndのライン出力でも、アナログ回路で音が劣化していることが分かる。

そして、音の力が全く違う。
音の広さ、力強さ、高音も低音も音の強さが全く違う。
CARAT-TOPAZのアナログ回路は音を出し切っている。
ダイナミックレンジが全く違う。

SN比もダイナミックレンジも全く違うため、
音楽のスケールが全く違う。
ちなみに、CARAT-TOPAZもOPA827も色付けの無いスタンダードな音楽である。
性能の違いによって、音の強さ、音の広さ、空間の広さ、立体感、臨場感、音の正確さ、
CARAT-TOPAZのOPA827は原音に近い音を聴くことができる。

ちなみに、1ランク下のDACチップであるCS4398を使っているJAVS X3-HDSDでも、
Fiio X5 2ndよりずっと良い音であることは言うまでもない。
つまり、アナログ回路の電圧や電力に制限のあるポータブルDAPでは、
CS4398の性能を出し切ることも難しいのである。


Fiio X5 2nd と X3 2ndでより良い音を聴くために [Fiio]

音質と感度

IL300Affetto
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K3003
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IL500grazioso
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まず、上の3枚の写真を見て、何か気付くだろうか。
IL300Affettoだけイヤホンジャックを挿している場所が違う。
IL300Affettoだけはヘッドホン出力に挿していて、
K3003とIL500graziosoはライン出力に挿している。

イヤホンで聴く場合、ヘッドホン出力で聴くのが良いか?
ライン出力で聴くのが良いか?

IL300Affettoは感度が低いため、ライン出力では十分な音量を得られない。
K3003とIL500graziosoは感度が高めなので、ライン出力でも音量を得られる。

では、ヘッドホン出力とライン出力では、どちらの音質が良いのか?
それは間違いなくライン出力である。
私が言う音質とは、主にSN比のことを言う。

SN比とダイナミックレンジ

音響機器のスペックでよく見かけるSN比とは何ぞや?
性能の基準であり、SN比が高いほど高性能になる。
ざっくり言うと、SN比120dbなら、120dbの音を出してもノイズは0だということ。
SN比110dbの機器で120dbの音を出したら、10dbはノイズが混入するということ。
具体的に言うと、SN比が低い機器で再生すると、小さな音はノイズにかき消されてしまう。
SN比が高いと、音の見通しが良くなり、小さい音も忠実に再現できる。
音の奥行きが増え、音が鮮明になり、情報落ちも少なくなる、
原音を忠実に再現できて、空間も忠実に再現できる。
ダイナミックレンジはSN比の範囲内で音の強弱を表現できる範囲。
つまり、SN比が高いことが前提となる。
SN比を決定するのは、主にデジタル回路。
ダイナミックレンジを決定するのは、主にアナログ回路。
SN比の高さが、音質を決定する土台となる。

優秀なFiioのライン出力

Fiioのライン出力は優秀である。
ポタアンのソースには最適である。
DACチップやOPAMPの構成を真面目に考えて作っているのが分かる。
IL300Affettoでは、ライン出力の音量が小さいが、
K3003とIL500graziosoで聴くと、ライン出力とヘッドホン出力では、
明らかにSN比が違うことがはっきりと分かる。
おそらく、一般のプラスチックのイヤホンではSN比の違いは分からないだろう。
だから、音が強く出るヘッドホン出力で聴くのだろう。

Fiioのライン出力の音はSN比が高い。
おそらく、ポータブルでは最高クラスだろう。
私の感覚では、ヘッドホン出力とは、数db~10dbくらいは違うだろう。
音の奥行きが全く違う、見通しの良さが全く違う。
音が精密で立体感があり空間が広くなる。
だから、ライン出力で音量を得られるイヤホンは、ライン出力で聴く。

ヘッドホン出力とライン出力

おそらく、ライン出力は最終段のバッファOPAMPを経由していないのだろう。
バッファOPAMPを経由すると、音は増幅されるがノイズも増幅される。
感度が高いイヤホンほど顕著に表れるだろう。
ざっくり言ってしまえば、バッファOPAMPはヘッドホンのためのOPAMPである。

感度が高いイヤホンは音がピーキーになりやすいので、
音の奥行きが無くなり、平面的な音になる。
そういう場合はライン出力に繋ぐことにより、感度が下がり自然で奥行きのある音になる。
一般的にBAイヤホンは感度が高いので、自然な音にすることができる。
感度が低いイヤホンなら、ヘッドホン出力に繋げば音がしっかり、くっきり出る。
ライン出力で音量が得られるなら、ライン出力で聴くほうが音質は良い。

付帯音とノイズ

IL300Affetto、K3003、IL500graziosoは現在最も性能が高いイヤホンだろう。
性能が高い=SN比が高い
ほとんどのイヤホンが付帯音があるイヤホンである。
付帯音=音を演出して楽しい音楽を作ってくれる。と大部分の人が思っているだろう。
私に言わせれば、「原音の醍醐味に勝る音は無い」
原音を聴いたときの感動や迫力を知らないからである。
付帯音とは、つまりは雑音、ノイズである。


Fiio X5 2nd と Fiio X3 2nd [Fiio]

X5 2ndとX3 2ndは何が違うか

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DACチップ、OPAMPの違いは、
X5 2nd
PCM1792 → OPA1652×2 → OPA1612 → OPA1612 → BUF634×2

X3 2nd
CS4398 → I/V変換無し → OPA1642 → OPA1642 → LMH6643

PCM1792とCS4398の違いは、卓上機なら1ランク違いが出るが、
ポータブルならこの程度の違いはほとんど出ないだろう。
それよりもOPAMPの違いのほうがはっきり出るだろう。
モバイル用のOPAMPのことは知らないが、
OPA1642、OPA1652は標準的なOPAMPのようだ。
それに対してOPA1612は1ランク上のOPAMPのようだ。
最終段の出力用バッファのOPAMPは、X5 2ndのほうが電流値が多くパワーがある。
そして2個搭載しているのも大きな違いが出る。
パワーが出るというメリットもあるが、
左右が分離するので、SNが向上するというメリットもある。

ポータブルDAPと据え置きDACの違いは

両者の違いを述べる前に、
ポータブルと据え置き機の違いは何ぞや?
まず一つ目は、プレーヤーソフトの違い。
ポータブルは内臓の専用ファームウェア、据え置き機はPCのプレーヤーソフト。
PCの場合は、使うソフトにもよるが、
私はJRiver Media Centerを使っているので、ポータブルのソフトより処理能力が高い。
特に顕著に表れるのがPCM音源再生時である。
PCM音源はダイナミックレンジが狭いので、
PCのプレーヤーで多ビット処理をすると、元データよりダイナミックレンジが広がる。

そして、ポータブルと据え置き機の最大の違いは電圧である。
ポータブル機は、大抵4V程度で駆動してると思う。
しかし、据え置き機は8V~12V駆動が普通である。
デジタル回路は4Vでも十分だが、アナログ回路は8V以上必要である。
電圧は音を出すための「圧力」である。
音をしっかり出し切るには8V以上が必要である。
音を出し切ることで、ダイナミックレンジが上がる。
4Vでは、出せる音に限界がある。

X5 2ndとX3 2ndの音の違いは

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本題に戻って、X5 2ndとX3 2ndの音の違いは何ぞや?
一言で言うと、X5 2ndは全てにおいてX3 2ndより向上している。
これは、X3 2ndの音が悪いのではなく、X5 2ndの音が良すぎるというのが正しいだろう。
IL300Affettoで聴くと、音の違いが丸裸にされる。

まず言っておきたいのは、
X3 2nd単体で聴いたら何の不満も無い。ということ。
X3 2ndはポータブルとして十二分に高音質であり、
ウォークマン、スマホとは比較できない次元であり、
ハイレゾ、DSD再生においても非常に優れており、
これで十分じゃん、という音質である。

X5 2ndが優れていることは

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まず、音が非常に正確である。ということ。
ポータブルは音質に限界があるため、一般的に良い音に感じさせる音作りが多いが、
X5 2ndは正統に良い音を追求して作られている。
デジタル回路やOPAMPなど、真面目に良い音を追求して作られている。
X5 2ndの音は、SNが高く、音がしっかり出るのでダイナミックレンジが高い。
高音も低音もしっかり出る。
音がくっきりと明瞭である。
なので、音が広く、空間が広く、立体感があり、定位感がある。
X3 2ndよりスケールの大きい音楽を聴ける。

X3 2ndもポータブルとしては十分に大きな音楽を聴けるが、
X5 2ndはポータブルの枠を超えるほどの、正確な音、広い音である。

音に味付けして良い音を作っているDAPは他にあると思うが、
X5 2ndは性能を上げて良い音にしている。

DSDネイティブ再生がすばらしい

これはX5 2ndとX3 2ndに共通することである。
PCM再生も、もちろん優れているが、
DSDネイティブ再生はすばらしい。
IL300Affettoで聴くと、ポータブルとは思えない音である。
DSD再生もPCMハイレゾ再生も、ダイナミックレンジが広い音を聴ける。
圧倒的な空間再現力である。
X5 2ndのほうが、X3 2ndより一回り大きな音楽を聴くことができる。

X5 2ndとX3 2ndは、どちらが買いか?

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AKG K3003で聴くと、正確な音、リファレンスの音、ど真ん中の音を聴ける。
IL300Affettoほどダイナミックレンジは広くないが、
情報量はK3003のほうが多い。

X5 2ndとX3 2ndは、どちらが買いか?
私の答えは、価格差なりの差がある。
価格差以上でも以下でもない、そのまんまの差である。

例えるなら、
X3 2ndは高性能コンパクトデジカメ、X5 2ndは一眼レフ。
スマホとデジカメの画質の差は一目瞭然だが、
高性能コンデジと一眼レフでは、スナップ写真程度ではほとんど差は分からない。
X5 2ndを使うなら、ある程度高性能なイヤホンを使うことが前提である。

X3 2ndのほうが小さくて軽くて、片手にすっぽり入って操作しやすい。
バッテリーの持ちもいい。
外に持ち歩くならX3 2ndのほうが断然楽である。

世界最高のイヤホン、IL300Affetto、K3003を持ってしても、
X5 2ndがあれば十分だ。と感じる。
特にこれ以上のDAPがほしいとは思わない。
Fiioはコスパが高いので、比較対象は価格が高いDAPになるだろう。
リファレンスのK3003、リファレンスに近いIL300Affetto。
私はリファレンスの音を聴きたいので、音を作っているDAPは聴きたくない。

Fiio X7のスペックを見る限りでは、
標準アンプモジュールならX5 2ndと大差ないだろう。
MUSES02モジュールなどを使えば、X5 2ndより良い音になるだろう。
ポータブルには、4Vで駆動できるMUSES02が最高のOPAMPである。
ポータブルはコストや電力の制限があるので、
X5 2nd辺りで、ポータブルの限界に近いと思う。
これ以上にするには、どういう音を作るかという領域になってしまう。

イヤホンも同様である、
K3003以上に高価なイヤホンが沢山出ているが、
K3003以上に高性能にするのは、プラスチック筐体では不可能である。
これ以上の物は、どういう音を作るかという領域である。

最近は10万円以上のDAPも多いが、
10万円のDAPと10万円のイヤホンで、
外で高音質の音楽をじっくり聴くのだろうか?
私はX3 2ndと1~2万円のイヤホンで十分だと思うが。
家の中で、10万円のDACと10万円のヘッドホン、スピーカーで聴いたほうが、
感動の度合いが全く違う。

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総合的に考えて、外で使うのにおすすめできるイヤホンは、
最近発売されたIL500graziosoだと思う。
IL300Affettoはスケールの大きい音楽なので、外で聴くにはちょっと。
K3003は高価すぎるので、外で使うにはちょっと。
IL500graziosoの価格は2万円で、
音質もIL300Affetto、K3003に近く、
くっきりした音、メリハリのある音、適度な広さ、
K3003に似た音で、価格はずっと安い。
高価なハイブリットを買うより良いと思う。
少なくてもDN-2000よりはずっと良い。
詳細は別途レビューしたいと思う。


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